ノルマン・コンクエスト (英語: The Norman Conquest) は、ノルマンディー公ギヨームによるイングランド征服のことである。1066年のヘースティングス(Hastings)の戦いに勝利したギヨームはウィリアム1世(征服王William the Conqueror)としてノルマン王朝を開き(ウェストミンスター寺院での戴冠式は、同年12月25日。)、これによりイングランドは異民族(ノルマン人)により支配される事となった。これはイングランドの歴史の分水嶺となり、スカンジナビアの強い政治的、文化的影響から離れ、フランスと政治的にも文化的にも強く関係することになる。フランス王の封建臣下であるノルマンディ公が同時にイングランド王を兼ね、フランス王より強大になったことによる両者の争いは、プランタジネット朝においてさらに激しくなり、百年戦争を引き起こすことになる。また、これまでスカンディナビア、ゲルマン文化の影響が強かったが、フランス文化がこれに取って代わることになり、政治的にもフランスと深く関連することになる。ウィリアムに従う北フランス各地の貴族たちは、ひとまずイングランドに定着したが、その後しだいにウェールズ、アイルランド東南部、スコットランドにも広がってゆき、フランス北西部とブリテン諸島は北フランス文化圏に組み入れられることとなった。ノルマン人の子孫であるノルマンディーの貴族たちは、移住してから100年程度たち、風習、言語ともにフランス化していたので、イングランドではそれまでのテュートン系古英語に変わり、ノルマンディー方言を中心とする北フランスの言語(ノルマン・フレンチ、アングロ・フレンチ)が貴族社会の言語となった。動物を示す英語と、その肉を示す英語が異なる(例:豚‐pig、swine豚肉‐pork/牛‐cow、bull、ox牛肉‐beef/羊 ‐sheep羊肉‐mutonなど)のは、イングランドの被支配層が育てた動物の肉を、ノルマンディーからの支配層が食用としたために、二重構造の言葉となったケースの典型といわれている。その他、yardとgardenなどが挙げられる。また、一般的なフランス語での‘chは、‘sh「シ」に近い発音だが、ノルマンディー地方の方言では、「チ」に近い発音をしていたという。フランス語起源の英語の単語で‘chが含まれるもののうち、「シ」ではなく「チ」に近い発音をすることが多いのは、この名残りである。